SDGs取り組み事例:「素晴らしい環境保全活動!」滋賀県のSDGs取り組み事例を紹介

自治体の多くがSDGsの取り組みを開始しておりますが、関西地域で、滋賀県の皆様は、積極的にSDGsの啓蒙・取り組み活動をされておられます。

今回、その活動内容について、滋賀県のSDGsご担当者様に、取材させていただきました。
SDGsの掲げる持続可能な環境・社会を作る上で、たくさんのヒントを頂くことができました。

取材日:2019年3月5日
取材場所:滋賀県庁
取材先:滋賀県 総合政策部 企画調整課 未来戦略係 SDGs担当者

インタビュアー:当社(株式会社空心)

滋賀県のSDGsの取り組み状況について

当社

関西地域で先進的にSDGsの取り組みを行われておられる滋賀県の取り組み状況について、特に、重視されている点を教えていただけますか?

滋賀県

行政計画や戦略にSDGsを落とし込んで、いろんなステークホルダーをつないでいくというのが、都道府県にとっては大事なことだと認識をしています。

県の最上位計画として、滋賀県基本構想というものがありまして、今、次期計画の策定をしておりまして。来年度からは新しいものになります。

これにはSDGsの特徴を生かしております。

当社

最上位計画の中に、SDGsが入るのは、とても、すばらしいですね。

実際、県庁内でもSDGsの活動をされており、部局でSDGsの取り組みをされているようですね。

滋賀県

基本構想が体系的には最上位にあって、それに基づいて、各部局でも計画を作っていきます。

そういう中で、部局内でSDGsの取り組みをやっていただいています。

当社

基本構想では、SDGsの目標である2030年までの長期的な計画になっておりますね。

地方行政の計画で、10年先という長期的な視野になっているのが驚きました。
過去に10年先を超えるような計画を作られたことはありましたか?

滋賀県

平成初期には計画期間が10年を超える計画を立てていたときもありましたが、知事の政策と県の政策を合わせていかなければならないという流れが強くなり、その時代以降、4年計画になり、知事の任期に合わせて改定をしていくということになっていました。

今回、計画期間から見直しをし、考え方を大きく変えました。

当社

行政計画にSDGsを取り入れるというのは、滋賀県のSDGsへの取り組みの本気度が伝わってきます。

基本構想の中に、SDGsの重要項目である、経済・社会・環境の項目が入っておりますが、さらに、人の項目が追加されておりますね。

人(県民の皆様)を大切にされようとする思いが伝わってきます。

滋賀県

これは滋賀県オリジナルです。

当社

そうなんですね。

SDGsでは、経済・社会・環境が重視されておりますが、実際には、人というのも大切な項目に入っていると思っております。

取り組みされている企業や行政の中には、社会の項目の中に「人」を入れる場合もあるようですが、滋賀県では、別に「人」という項目をもうけておられるんですね。

やはり、滋賀県にとっては、人はとても大切なんですね!

滋賀県の「人」づくりとは?

滋賀県

滋賀県はもともと人づくりを重視しております。

突然思いついたような項目ではなく、過去からの政策の流れです。

「うみのこ」(*滋賀県では、県内全ての小学5年生が、学習船「うみのこ」に乗り、琵琶湖やふるさと滋賀を舞台に体験学習を一泊二日で行っています)では、次世代の子ども達が、船に乗って、環境や地域のことを考える体験を、人づくりの一環で1983年からおこなっています。

県内の小学5年生全員が参加していて、現在までに、累計約55万人が乗っています。

当社

滋賀県の皆様にとっては、「うみのこ」での環境・琵琶湖に関する学習経験は、皆さん共通の体験になっているんですね。

滋賀県

財産ですよね。

環境意識がかなり高い県でありますので、ボランティア行動する率が全国一位であったりします。

このように、「人」という観点は、以前から強く持っていたというのがあります。

当社

素晴らしいです。

人を大切にするからこそ、SDGsの経済・社会・環境に関する問題を解決したり、新しい価値を生み出し、発展することもできると思っています。

しがハブについて

当社

滋賀県では、以前から環境に関して、環境教育・水質改善・森林保護などの取り組みをされていると思いますが、今回、SDGsに取り組む中で、それら以外で、特に、新たに取り組みを開始したことはございますか?

滋賀県

それが、「しがハブ」(*滋賀県と経済界、金融機関が協力した産官金連携の組織:「滋賀SDGs×イノベーションハブ」の愛称)です。

社会的課題解決の視点で新たなビジネスモデルを作る。

新しい動きです。


滋賀県大津市のコラボしが21にある、しがハブオフィス入口

当社

これは、確か、3年という期限をもうけて、2018年10月より、滋賀県や経済団体、銀行が中心となって、取り組みを開始されているようですね。

どのようなことを、期待されていますか?

滋賀県

期待するのは、滋賀県の企業の皆様が本業で社会的課題を解決する中で新たな取組や商品が生まれて活性化すればいいなと思っています。

しがハブの取り組みとは違うのですが、琵琶湖の大きな課題の一つに水草の問題がありまして。
夏場になりますと、琵琶湖の南の方の南湖に、水草が広がってですね。
船のモーターに絡まったり、悪臭の原因にもなりますし、生態系の問題にもなっております。
これを刈り取るために、県ではお金を使っています。
刈り取っても水分が多くて燃やすにしても効率が悪く、処置に困っていました。

大きな課題でありましたが、湖北にある建設会社様が、技術開発をして、新しく肥料として使えるようにしました。堆肥化するのに2年ぐらいかかるのが、その会社では、2ヶ月で堆肥化ができ、商品化までつなげられました。

そういう課題が転じてビジネスになるみたいなものが、しがハブの取組の中からもできるように、期待しています。

当社

私どもも、滋賀県の経済や社会問題において活躍されることを、期待しております。

SDGsと経済

当社

SDGsの取り組みの中で、経済については、大きく気になるテーマでしょうか?

滋賀県

社会を変えていく一つの原動力として、企業の皆様は大きな力を持っていると思います。

企業活動を通じて、消費者の皆様のマインドを変えることができますし、その消費者の皆様が消費行動を通じて企業の皆様に影響を与えるということもあると思っております。

そういう意味で、企業の皆様に期待しております。

当社

なるほど。

当社

では、滋賀県において、学生時代から環境教育を受けているという人がたくさんいらっしゃいますが、環境やサステナブルに関する消費に関して、何か積極的に活動されていることはございますか?

滋賀県

「エシカル消費」という言葉があります。「エシカル」を意識して商品を購入する方は、まだ少ないかもしれませんが。

たとえば、国のほうでも買い物袋をやめたらどうかということが議論されていると思いますが、滋賀県のスーパーでは、何年も前から、はじめておられます。
県内のスーパーマーケットでは、基本有料です。

ほとんどの方は、エコバッグ持参が当たり前になっていますので、そういうことを受け入れられる地域性があると思います。

当社

なるほど。

世界や国内で話題になっているようなテーマでも、実は、滋賀県では先駆けて実践をしていることがあるんですね。

環境に対する意識の高さには、とても感心をいたしました。

なお、琵琶湖という日本最大の湖の環境を保全するために、個人や企業の皆様が様々な取り組みをされているようですね。水処理の高い技術のある企業もあるようですね。

滋賀県の水環境問題への取り組みについて

滋賀県

はい。

しが水環境ビジネス推進フォーラムというネットワーク組織があり、170以上の企業や団体が加入されていて、国内外の水環境問題の解決に向けたビジネスが展開されています。

また、滋賀県の厳しい「水規制」の中で工場を運営されているということは、県内に立地されている企業さんにとってもアピールポイントになるそうです。

琵琶湖の保全を通じて、企業だけでなく県民や研究機関などに蓄積されてきた技術やノウハウに基づく総合的な取組を「琵琶湖モデル」と呼んでいます。

琵琶湖を中心に、(水は)、周りの山から川を通じて琵琶湖に流れ込んでくるんです。

山づくり・山の保全も琵琶湖のためになるという発想で、山から川から里に降りてきて湖に流れ込むまでを一体的に良くしようという取り組みをしています。

31年度の予算にも、「やまの健康」というキーワードで、山の対策は、県の政策として重点を置いております。

当社

ありがとうございます。
琵琶湖を大切に守るという取り組みは素敵ですね。

農業への取り組み

当社

なお、農業については、環境こだわり農業という取り組みをされていますね。
また、その象徴的な取り組みとして、オーガニック農業を進めているようですね。

滋賀県

環境こだわり農業は、化学合成農薬や化学肥料を通常の5割以下に減らし、琵琶湖の保全などを目指す取り組みです。近江米のおよそ半分は環境こだわり米で、その取り組み面積は日本一となっています。

代表的な取り組みとして、滋賀県が約10年の歳月をかけて研究開発し、平成25年にデビューした近江米「みずかがみ」については、全量を環境こだわり栽培するブランド米として生産振興を図っています。

「みずかがみ」は、平成27年産から平成29年産の3年、食味ランキング「特A」をいただいております。


当社

よくわかりました。
農業分野でのSDGs活動がさらに進めば、社会問題改善と経済成長にも繋がりますので、とても良いですね。

SDGs啓蒙活動

当社

次に、SDGsの啓発活動について、お聞きします。
どのようなことをされておりますか?

滋賀県

今年度は、SDGsを知ってもらうために、シンポジウム・ワークショップをやりました。

みんなに知ってもらわないと社会が変わらないと思いますので、みなさんに、SDGsがなぜ大事なのか?を知っていただくためにやっております。

当社

どのような参加者が多いですか?
県内の参加者の方が多いですか?

滋賀県

県内の方が多いです。
一番多いのは企業にお勤めの現役世代で、それぞれの会社で、環境担当、CSR担当をされているような方。
あとは、学生さんや、地域でボランティアをされている方などです。

当社

県民の皆様は、すごい意識が高いですね。

シンポジウム・ワークショップの内容によっては、150名とか、200名規模にもなるようですね。

滋賀県

昨年秋に設立した「滋賀×SDGs交流会」は、グループディスカッションもありますし、SDGsに関心のある方同士が新しく知り合いになってつながるきっかけにもなっています。

今まで出会うことがなかった分野の方が出会って、新しいことにつながればよいなぁと。

当社

マッチングで新しい価値・ビジネスが生まれると良いですね。

なお、経済分野の方のご協力を得て、世界的にも有名な方を講師として呼ばれ、実際に、ご講演をされているシンポジウムもありますね。

海外の方にとっても、日本で啓発をする活動をされることにも意味や価値があるかもしれませんね。

滋賀県

知事は「世界に開かれ、世界とつながり、世界から選ばれる滋賀県」を目指そうと常に申しております。

行政だけで考えるのではなくて、企業活動をされている方でしたら世界とつながっている方も多いです。そういう方と一緒にやることで、視野を拡げることができます。滋賀県に住んでおられる方や学生さんにも世界の視点でも捉えていただきたいなという思いです。

最後に、今後のSDGsの取り組みについて

当社

どうもありがとうございました。
最後の質問をさせていただきます。

今後、SDGsについて、どのようなことを重要視して取り組みをされたいですか?

滋賀県

滋賀県や滋賀県に住んでおられる方がいつまでも幸せに豊かに暮らせる地域を維持していく、より良くしていくために、考えるのが大事だと思っています。

それが滋賀県のSDGsだと思っています。

そのために、何が一番大事かというのは、次世代の担い手作り。
それが大事だと思っています。

知事がいつも申しておりますが、「知ること学ぶことが社会を変えることにつながる」。

「うみのこ」だけでなく、次の展開ができないかと考えています。

持続可能な社会に向けて変えていけるような意識を作る担い手を作りたいなというところに、頑張っていきたいです。

また、SDGsの理念は、現在の世界が限界に来ているという、危機感を共有する内容が多いと思います。

(日本人は)それと全く関係がないかと言うと、消費生活・仕事などで必ず関わっています。

滋賀というローカルな地域から少しずつでも変えていかないと今の社会システムは変わりません。

今の生活自体が抱えている歪み・問題というものに目を向けて、変えていく「きっかけ」にしていかないと、いつまでたっても変わらないんじゃないかと思います。

価値観を変えるというのは簡単にいくものではないですが、シンポジウムやワークショップ、リーフレットなどを通じて、どうにか価値観の転換・行動の変換につながらないかなと。

できることから、一歩ずつ、やっていく方が良いかなと思っています。

滋賀×SDGsリーフレット
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5101089.pdf